Japanese
English
増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
4章 循環器疾患
たこつぼ(型)心筋症ないし心筋障害
Takotsubo cardiomyopathy(TCM)・Stress cardiomyopathy,transient apical ballooning
土橋 和文
1
,
橋本 暁佳
1
1札幌医科大学医学部病院経営・管理学/循環器・腎臓・代謝内分泌内科
pp.430-432
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201955
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
たこつぼ(型)心筋症(TCM)ないし心筋障害は急性心筋梗塞に類似した胸痛と心電図変化を有し,左心室心尖部を中心とした壁運動異常が冠動脈の支配領域を超えて,典型例では特異な“ツボ型”を呈する急性発症の一過性心筋障害であり,高齢女性に好発する.医療行為の疼痛,震災など,“喜・怒・憂・思・悲・驚・恐”など精神的慟哭が背景誘因として知られるが,多くは原因不詳である.わが国では,急性冠症候群の例外的病態として概念が確立され,後天性一次性心筋症に区分される.欧米では,stress cardiomyopathy,broken heart syndrome,apical ballooningなどの複数名称が同一病態で使用される.右室型,左室基部・中部限局型(通称,逆たこつぼ心筋障害),左室全般型など亜系がある.心室内圧較差例では昇圧薬使用で増悪し,遷延性低血圧・ショックから突然死ないし急性期再発を示すことがある.壁運動異常は短期間でほぼ正常化し,慢性期予後は良好で再発はまれである.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.