Crosstalk 地域医療×臨床検査・11【最終回】
地域医療と臨床検査の交点—その展開
小谷 和彦
1,2
1自治医科大学地域医療学センター地域医療学部門
2自治医科大学医学部臨床検査医学講座
pp.1599
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201827
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“Crosstalk 地域医療×臨床検査”を監修させていただいた.臨床検査が,地域医療で活躍している様子について,ほんの一端ではあるが紹介した.連載を終えるにあたり,解説を少しだけ加えたい.
(狭義の)地域医療の実践は,“総合医”の診療にしばしば準えられる.特に地域の最前線での総合診療を特徴づけるエッセンスは,連載のなかに随所に表現されていた.複数の疾患をもつ高齢者に対する診断の話(第3,5,7話)にみる“幅広く,包括的”な診療や,検査結果に患者さんの人生を投影した話(第9話)にみる“患者中心で全人的”な診療は特徴的である.一見単調にみえる慢性疾患の管理のなかで,微かな病状の変化を解き明かした検査の話(第6話)にあるような“継続的”な診療もその特徴である.これとは逆に,疾患の超急性期の段階で複数の検査を駆使して診断した話(第4話)にあるような“ファーストタッチ(近い関係にある)”の診療も,特徴の1つである.検査の特性をよく理解して,短期に繰り返して経時変化を追うのは,プライマリ・ケアならではである.使える環境にあるなら臨床検査を迷わず行い,その値をもって判断するのは是なのである.
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