増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ
Ⅲ章 報告前に必要なチェック
〔生化学検査〕
生体色素(T-Bil,D-Bil)
吉田 俊彦
1
1千葉大学医学部附属病院検査部生化学・免疫検査室
pp.1181-1184
発行日 2015年10月30日
Published Date 2015/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200570
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
緊急性
血清ビリルビンが高値となると黄疸をきたす.早期には眼球結膜の黄染が認められ,皮膚への黄染へと進展し,2.0〜3.5mg/dL以上になると全身の黄疸となる.黄疸症状があるような肝実質性や胆汁うっ滞型の急性肝障害や肝炎は重症である.閉塞性黄疸で胆管炎や胆囊炎などが疑われる場合は,ドレナージや手術などの処置が必要となる1).
一方,新生児においては,産生や再吸収の上昇と抱合作用の減少によって,生後24時間の時点で5.0mg/dL,36時間までに7.0mg/dL程度になることが判明しており,“新生児の生理的黄疸”といわれている2).このように,黄疸症状があるからといっても,緊急性が伴わない場合もある.しかし,新生児においても表1のような高ビリルビン血症を示す場合は,非抱合型ビリルビンが血液脳関門を超えて基底核や小脳の神経細胞に侵入し“核黄疸”や“ビリルビン脳症”と呼ばれる脳障害を引き起こす可能性が高まる.その場合は,光療法や交換輸血などの治療を実施する必要が生じる.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.