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糖尿病コントロール指標のHbA1cが今大きく変わろうとしている.HbA1cは測定法によりその値に差があり欧米各国ではDCCTで使われたHbA1cを基準に標準化が行われてきた.日本国内でも標準物質を用いキャリブレーションを行っているが,まだ施設間での差が認められ臨床の場では混乱することもある.また日本と欧米各国との間の差も問題で国際的なデータ収集や諸外国のエビデンスを解釈するさいに障害となることも多い.
そのような観点から国際臨床化学会(IFCC)が新たに正確なHbA1cの測定法を確立し,これを国際標準とすることを提唱している.新基準では従来の7%が5.3%と1.7%ほど低い値となり,臨床の場での混乱を避けるためIFCCはmmol/L単位での表示を提案している.これに加えてHbA1c値を平均血糖値(AG)で表示する動きがあり,ADA,EASD,IDFにより国際的なスタディが行われた.この試験では,米国,欧州,アフリカの10施設から1型糖尿病323名,2型糖尿病230名,健康人90名が参加した.対象のHbA1cの分布は4~6.5%(38%)6.5~8.5%(44%),>8.5%(18%)であった.期間は12週で4週ごとの48時間連続血糖測定と毎週3日間以上SMBG(7回/日)を行い,HbA1cは期間中5回測定した.その結果,各対象は期間中合計なんと2,700回以上の血糖測定を行ったことになる.AGとHbA1cは正の相関関係を示し,AG=28.494xHbA1c-45.3mg/dL(r=0.914,p<0.0001)になった.性差,年齢,人種,糖尿病病型,喫煙の有無などには影響を受けず,血糖が不安定な1型糖尿病と安定している2型糖尿病との比較でも差がなかったという.
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