今月の主題 成長と臨床検査値
巻頭言
子どもの成長・発達と子ども学
小林 登
1,2
Noboru KOBAYASHI
1,2
1ベネッセ次世代育成研究所
2東京大学医学部
pp.459-460
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103004
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「成長と臨床検査値」の特集号の巻頭言として,“小児”すなわち“子ども”の本質である育つ姿に焦点を当てて筆者の考えを述べてみたい.なお,子どもの問題は,小児科学やそれに関連する臨床検査も含めた諸科学ばかりでなく,病気に関係ない諸科学も連合して取り組むべきと考える筆者の立場から,本稿では“子ども学”と題して広く論じたい.
子どもは“生物学的存在”として生まれ,“社会学的存在”として育つ.また,“育つ存在”として生まれ,“育てられる存在”として育つとも言える.“生物学的存在”や“育つ存在”は,子どもは進化の歴史の中で獲得した遺伝子情報による心と体の基本的なプログラムをもって生まれることである.また,“社会学的存在”や“育てられる存在”は,親やまわりの大人たちから,食事によって栄養が与えられ体を成長させるとともに,育児・保育・教育によって情報も与えられて心や体の機能も発達させると解釈できる.
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