Japanese
English
今月の主題 脂肪細胞
話題
新規アディポカイン―バスピン(Vaspin)
Vaspin and insulin resistance in metabolic syndrome
中司 敦子
1
,
和田 淳
1
Atsuko NAKATSUKA
1
,
Jun WADA
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学
キーワード:
セリンプロテアーゼインヒビター
,
アディポカイン
,
メタボリックシンドローム
Keyword:
セリンプロテアーゼインヒビター
,
アディポカイン
,
メタボリックシンドローム
pp.599-604
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102649
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1.はじめに
近年,脂肪組織は単なる脂肪の蓄積臓器ではなく,様々な生理活性を有する分泌蛋白を産生する臓器であることが明らかとなり,これらの分泌蛋白はアディポカインと呼ばれている.アディポカインはホルモンとも考えられており,脂肪組織は体内で最大の内分泌臓器であると言える.これまでに同定されたアディポカインには,遊離脂肪酸やレプチン,TNF-α(tumor necrosis factor-α),ASP(acylation-stimulating protein),アディポネクチン,レジスチン,ビスファチン,retinol binding protein-4(RBP4)などがあるが,これらの蛋白はそれぞれが高血糖や高血圧,脂質代謝異常,血管機能などに直接影響している.そして脂肪細胞の大型化や,内臓脂肪組織の蓄積,インスリン抵抗性さらには動脈硬化などの慢性血管合併症の進展に深く関係している.すなわち内臓脂肪の蓄積とそれに伴うアディポカインの分泌異常をもとにした病態の連鎖により,肥満症やメタボリックシンドロームは合併症を伴って進展していくのである.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.