今月の主題 前立腺癌
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前立腺癌の診療に関するノモグラム
赤倉 功一郎
1
Koichiro AKAKURA
1
1東京厚生年金病院泌尿器科
キーワード:
前立腺癌
,
ノモグラム
,
アウトカム
Keyword:
前立腺癌
,
ノモグラム
,
アウトカム
pp.1687-1690
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102187
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1.前立腺癌診療におけるノモグラムの利用
ノモグラムとは,一般に,ある特定の関数の計算を行う目的で作成された計算図表を指す.医学臨床においては,特定のアウトカムの確率を予測するための計算手段として,ノモグラムが作成され用いられている.前立腺癌患者の病態や病状には大きな差があり,予測される予後や選択可能な治療選択肢も多彩である.そこで,前立腺癌の診療において,種々のパラメータを用いて,リスクを評価したり予後を予測する手法として,多くのノモグラムが開発発表されてきた.
パラメータとして統計学的に有意な予後推測因子が選定され,各々のパラメータに重み付けをして点数化し,総計を求めて全体の推定値を計算する(図)1).具体的には,血清前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)の値,臨床病期,組織学的悪性度(主にグリソン・スコア)などがパラメータとして用いられる.また,推定するアウトカムとしては,生検陽性率,手術摘出標本の病理学的病期,再発率,生存率など,様々なものがある(表1).一般に,ノモグラムによるアウトカム予測は,専門医の判断や単純なリスク分類よりも優れているとされている2).
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