特集 ホルモンの病態異常と臨床検査
巻頭言
臨床検査増刊号として「ホルモンの病態異常と臨床検査」
藤枝 憲二
1
Kenji FUJIEDA
1
1旭川医科大学小児科
pp.1093-1094
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101743
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従来,ホルモンとは,“特定の臓器(内分泌腺)で作られる化学物質で,血流で離れた場所に運ばれ,少量で特異的な作用を発揮するもの”と定義されていた.しかし,様々なホルモン様物資が同定されてきたこともあり,この概念は崩れ,その定義も混乱している.現在では,ホルモンとは“脈管内液および組織間隙液中に分泌され,微量で特異的な作用を発揮する物質”と理解するのが妥当であろう.
ホルモンという微量な物質の測定が可能となったのは,約40年前にBerson SA,Yalow RSによりインスリン測定のために開発されたradioimmunoassay(RIA)法である.これにより生体内の微量物質,特にホルモンなどの測定が容易になっただけではなく,微量測定法の開発は,臨床内分泌学に著しい進歩をもたらした.1977年に,脳のペプチドホルモン生産に関する発見をしたGuillemin R,Schally Aと共同でRIA法を開発したYalow RSにノーベル生理学・医学賞が授与された.
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