Japanese
English
海外文献紹介
フィブリノーゲンBβ鎖の変異型は有望な膵炎の長寿命マーカー
Modified form of the fibrinogen Bβ chain(des-Gln Bβ, a potential long-lived marker of pancreatitis
鈴木 優治
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部
キーワード:
フィブリノーゲンBβ鎖
,
変異型
,
膵炎
,
マーカー
Keyword:
フィブリノーゲンBβ鎖
,
変異型
,
膵炎
,
マーカー
pp.401
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101588
- フリーアクセス
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
著者らはフィブリノーゲンの遺伝的変種の研究中に対照者の1人におおよそ128Daの分子量減少を伴う新しいBβ鎖の変異型を見いだした.その血漿試料は1週間前に急性膵炎を経験した個人に由来したが,血清アミラーゼ活性は正常に回復していた.そこで,変異型フィブリノーゲンの構造および膵疾患との関係について調べた.フィブリノーゲンは膵アミラーゼが増加し(114~1,826U/l),膵炎が推定された9人およびアミラーゼ活性が<56U/lの対照者の血漿から分離した.フィブリノーゲンBβ鎖はHPLC法により分離し,質量分析法により直接分析した.トリプシンとCNBrによるペプチドmappingおよびトロンビン処理を用いて128Daの分子量減少の位置が特定された.獲得されたフィブリノーゲンBβ鎖変異はC末端グルタミン残基の欠損によっていた.精製フィブリノーゲンが膵carboxypeptidase Aとともに加温されると,同一の変異が生じた.このBβ鎖変異は,高アミラーゼ活性を示した個人のうちの3人では,Bβ鎖の80%を占めたが,対照では5%にすぎなかった.フィブリノーゲンは循環半減期が4日と長く,膵疾患のマーカーとして有望である.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.