特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
3.遺伝子診断の実際
12) 感染症 (7)ノロウイルス
中込 治
1
Osamu NAKAGOME
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座
キーワード:
ノロウイルス
Keyword:
ノロウイルス
pp.1501-1505
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101445
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ノロウイルス胃腸炎
ノロウイルスは感染性胃腸炎の主体を占めるウイルス性胃腸炎の最も重要な病原体の1つであり,また,最初に発見された病原体である.1968年秋に米国オハイオ州ノーウォークの小学校で起こった児童および教師の50%が罹患した急性胃腸炎の集団発生の原因として,免疫電子顕微鏡法によって発見されたウイルスである1).ノロウイルスは長い間,このような学童期から成人に及ぶ急性胃腸炎の集団発生,あるいはウイルス性食中毒の原因として注視されてきた.ノロウイルス胃腸炎の集団発生例の特徴は表1のような特徴を持つ2,3).しかし,最近になってノロウイルス胃腸炎は乳幼児から高齢者まですべての年齢層の人が罹患することがわかってきた4~6).特に乳幼児や高齢者においては,重症例も少なからず発生している.
現在のノロウイルス感染症は疫学的にみると,①学童期から成人に及ぶ急性胃腸炎の集団発生,②ウイルス性食中毒,③乳幼児期の嘔吐下痢症,④病院や特別養護老人ホームなど医療関連施設での高齢者の嘔吐下痢症など広範囲に及んでいる.この診断を臨床症状のみによって行うことは不可能である.確定診断は必ず病原ウイルスの検出によらなければならない.ノロウイルス検出のゴールドスタンダードは核酸診断(遺伝子診断)である.
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