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「白血球」の範疇に入る細胞は,好中球などの食細胞に限らない.この特集では,まず生体防御における白血球の時間・場所にわたる動きをケモカインのダイナミズムから鳥瞰し,食細胞の役割を位置づけた.自然免疫の観点から主に食細胞に焦点を絞ったが,新たに注目されてきたNKT細胞(natural killer T cell)にも触れている.
本特集で取り上げた内容の生体防御における位置づけを表1にイタリックで示した.細菌やウイルスなどの寄生体の侵入が宿主にとって初体験であると,宿主はその自然免疫系で対処する.侵入直後から働く細胞は,そこに局在するマクロファージやたまたま遊走してきた好中球などに貪食される.ただ,効率よい貪食には,レクチン経路や第2経路などの補体系で寄生体がオプソニン化されないといけない.このシステムでの殺菌は秒~分のオーダーである.侵入直後から働く殺菌性液体成分としては,食胞内や,局所で構成的に作られ分泌されている抗菌ペプチド(例:デフェンシン)・抗菌酵素(例:リゾチーム)がある.局所におけるTLR(Toll-like receptor)を介したケモカイン・サイトカインによる自然免疫系細胞の活性化は時間~日のオーダーで成される.これら一連の機構が少なくとも初感染5日までは必須である.直径1μmのブドウ球菌が何の束縛もなく1個感染して1時間ごとに分裂できると仮定すると,5.33日でほぼ月と同じ体積を占める計算になる〔4π÷3×(0.5×10-9)3×224×5.33km3〕.白血球のかかわる自然免疫系がいかに重要であるかを改めて思い知らされる.これらの抗菌系は,獲得免疫系でも重要なエフェクターシステムとなっている.
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