コーヒーブレイク
書架にある人生(その3)
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.970
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101320
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“茫々たる人の世の思いが平蔵の胸を流れた.”池波正太郎の大作,鬼平犯科帳のどこかに書かれてあった一行である.池波の数えきれぬ作品にはいずれも文句ない面白さとともに人生の不可思議さが漂っている.
平岩,藤沢という同世代の作家とともに彼は生きたが,私も昭和,平成の同じ時代に生きてきたことになる.これは大きなプレゼントを彼らからもらったと考えているが,特に池波の本は専用の手製の本棚からこぼれそうである.何遍眺め,読み耽っても飽きることがない.
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