今月の表紙 電気泳動の解析シリーズ・4
出現前より経過を観察し,量的変化を追跡したALP結合免疫グロブリン症例
堀井 康司
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部
pp.344-346
発行日 2003年4月15日
Published Date 2003/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100933
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酵素結合性免疫グロブリンは自己の酵素と結合し,高分子複合体を形成している異常な免疫グロブリンであるが,通常アイソザイム分析中に酵素の異常活性として検出される.さて,今回紹介するのはアルカリ性ホスファターゼ(ALP)結合免疫グロブリン例で,手術後に突然出現し,しかもその出現前からの量的変化を解析することができた非常に貴重な症例であり,その変化も劇的であった.
症例の57歳男性は,大動脈弁僧帽弁閉鎖不全があり,当院で大動脈弁僧帽弁置換術を行ったが,人工心肺使用の経過観察のためクレアチンキナーゼ(CK)アイソザイムの依頼があり,まったくの偶然で術後2日の血清中にALP結合免疫グロブリンが検出された.このため急ぎ廃棄前の術前よりの保存血清を確保した結果,術後27日で軽快退院するまでのALP結合免疫グロブリンの詳細な量的変化を観察できたわけである.
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