今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・15
小児
鯉渕 晴美
1
Harumi KOIBCHI
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.220-221
発行日 2005年3月15日
Published Date 2005/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100835
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超音波検査は痛みを伴わず放射線被曝の心配もないため,小児に対する検査として第一選択にあげられる検査の1つである.今回は特に検査されることの多い腹部領域の4疾患をとりあげた.
1. 肥厚性幽門狭窄症(症例1)
1か月女児.生後1か月頃より哺乳直後の嘔吐が頻回に見られるようになり,体重も減少したため当院来院.来院時血中Na 139mmol/l,K 4.5mmol/l,Cl 86mmol/lと低Cl血症を認めた.血液ガスは静脈血採血であるがpH7.429,PCO2 43.5mmHg,HCO3 28.2mmol/l,BE 3.4mmol/lと代謝性アルカローシスを示していた.肥厚性幽門狭窄症を疑い超音波検査を行った.図1aは肝臓を通してみた幽門像の長軸像である.胃前庭部には液状内容物があり無エコーになっている.幽門筋層が肥厚し長くなっているため等エコーな筋層が明確に描出されている(矢印).図1bは幽門部の横断像である.肥厚した幽門筋が低エコー帯としてみえており,ドーナツ状をしている.肥厚性幽門狭窄症と診断し,Ramstedtの手術を施行した.
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