学会だより
第45回日本臨床細胞学会総会 真夏の熱き学会
海野 みちる
1
1杏林大学病理学教室
pp.1586
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100638
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日本臨床細胞学会の全国レベルの学術集会は春と秋に行われる.春期大会(総会)は今回で第45回目で,NPO法人としての最初の学術集会であった.会期は2004年7月8日から11日までの4日間で,東京の京王プラザホテルおよびファーストウエストビルで開催された.例年は5月から6月初旬にかけて行われるが,4月に国際細胞学会(チリ・サンチャゴ)が開催されたためこの時期になった.今回のテーマは“ポストゲノム時代―癌診断に向けての細胞形態学新戦略”であった.うだるような暑さとスコールのような雷雨が連日続いたが,会場内は別世界で知識や技術を高める者,また国内・海外への交流を深める者たちであふれていた.
要望講演のベッドサイドでの細胞診は,入り口から人があふれんばかりの盛況ぶりであった.ベッドサイドや超音波ガイド下でリアルタイムに迅速細胞診断を行い,検体の採取状況の良悪や悪性の疑いを示唆するようにしているとの発表であった.細胞検査士が臨床と接することは,患者情報を目や耳で確かめることのできる唯一の機会となる.しかし,病理細胞診検査室の事情により臨床科がすべての処理を行い,ほかの検査同様検体のみが提出される施設が多くなっているのが現状である.今回の発表はこれに逆行し,病理細胞診検査室も能動的に変わるべきであることの大切さを示唆した.待つ検査から出向して迅速に結果を出す出張診断への移行がうかがわれた.術中迅速診断においても,この体制が可能であれば,無用な手術の可否の早期決定ができ,時間の短縮と患者への負担軽減にもつながると思われた.
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