シリーズ最新医学講座・Ⅰ 転写因子・11
転写因子と糖尿病
小田 夏奈江
1,2,3
,
北野 宏明
2,3,4
,
村松 正明
1
Kanae ODA
1,2,3
,
Hiroaki KITANO
2,3,4
,
Masaaki MURAMATSU
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学
2特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構
3慶應義塾大学大学院理工学研究科
4㈱ソニーコンピュータサイエンス研究所
キーワード:
インスリン分泌不全
,
インスリン抵抗性
,
遺伝子多型
Keyword:
インスリン分泌不全
,
インスリン抵抗性
,
遺伝子多型
pp.1553-1564
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100632
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はじめに
近年,食生活の欧米化と社会環境の変化に伴い,わが国においても糖尿病が年々増加の一途をたどっている.厚生労働省の糖尿病実態調査(2002年11月実施)によると,「糖尿病が強く疑われる人(糖尿病治療中またはHbA1c 6.1%以上)」が約740万人,「糖尿病の可能性を否定できない人(HbA1c5.6%以上6.1%未満)」が約880万人にものぼり,合計で約1,620万人,まさに国民の8人に1人は糖尿病または糖尿病予備軍ということになる.
また,久山町Study,舟形町Studyなどの大規模な疫学調査の結果,わが国における死亡原因の第1位を占める心血管疾患の大きな危険因子として,糖尿病が挙げられている.
このような状況のなか,最近の遺伝学的手法や発生工学的手法の進歩により,次々と疾患に関連する遺伝子が同定されてきており,糖尿病においても例外ではない.本稿では,糖尿病関連遺伝子のなかでも特に転写因子に焦点を当て概説する.
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