学会だより 第79回日本感染症学会総会
患者原点の開かれた感染症診療
佐藤 淳子
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1独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部
pp.344
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100057
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第79回日本感染症学会総会は,名古屋市立緑市民病院院長の品川長夫先生を会長として,2005年4月14日(木)~15日(金)の2日間に渡り,名古屋国際会議場において開催された.今回の総会は,「患者原点の感染症診療を再認識する」というテーマの下,特別講演3題,招請講演2題,教育講演7題,特別規格1題,シンポジウム3題,ワークショップ6題,および,370題を超える一般演題により構成されていた.この時期は,日本泌尿器科学会や日本呼吸器学会など大きな学会が複数重なって開催されていたにもかかわらず,約1,900名の参加があり,活発な討論がなされていた.
特別講演では,「生体肝移植を受けて」と題し,国立病院機構三重病院の神谷齋先生が御自身の生体肝移植のご経験について発表された.サイトメガロウイルス感染症を1度ご経験されたものの,移植から3年を経過され,特に拒絶反応もなく移植された肝臓は良好に機能されている旨をお話し下さり,まさに会長が今回のテーマとされた患者の立場からの意見が伺えたと思う.招請講演では,東京大学農学生命科学研究科の吉川泰弘先生による「動物由来感染症への対策」,農林水産省動物医薬品検査所の高橋敏雄先生による「家畜衛生分野における耐性菌の現状と今後の対応について」として,公衆衛生の観点から,ペットの多様化に伴う動物由来の新興・再興感染症や家畜衛生も交えた薬剤耐性菌対策についてのお話があった.
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