特集 療養病床の行方
療養病床の機能評価からの視点—病院機能評価における審査方法の変更と評価項目の改定について
寺崎 仁
1
1日本大学医学部社会医学講座医療管理学部門
pp.541-545
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903563
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平成12年度の介護保険の導入によって,療養型病床群は「医療保険適用」と「介護保険適用」の二つの種類に分けられることになった.また,昨年の第4次改正医療法の施行に伴い,各病院は従来の「その他病床」を,来年8月31日までに「一般病床」か「療養病床」のいずれかを選択して届け出し直さなければならない.そして,その届け出を怠ると病床の許可が取り消されることになっているので,病院にとっては正に自院の機能をよりいっそう明確に打ち出して,今後の病院経営を考えて行かなければならない事態に直面している.
新しい病床区分である「一般病床」は,実は「急性期病床」としての機能が期待されていることはよく指摘されているところであるが,それでは「療養病床」にはどのような役割が求められてくるのであろうか.そもそも療養型病床群は,介護保険の適用を視野に入れた,長期の療養を担う病床として整備が図られてきた経緯があるが,医療法の改正による新たな病床区分の導入によって,今度は「療養病床」と名前を変えて医療保険の中での新たな役割が求められている.しかし,それは「一般病床」での医療を,どの程度の期間までを想定しているかに強く影響されることであり,例えば「回復期」の医療を,「一般病床」と「療養病床」のどちらが担うべきなのかは,病院機能評価を行う上での大きな課題となる.また,介護保険との関係も視野に入れる必要があり,「介護保険適用」と「医療保険適用」とでは同じ「療養病床」でも,どのような機能の違いが求められるのかなども考えていかなければならない.
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