特集 病院の危機管理
医療訴訟と病院のリスクマネジメント
岡崎 悦夫
1
1新潟市民病院臨床病理部
pp.115-120
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902916
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昨今の医療事故や訴訟で驚くのは,病院長でさえ現場の責任者として医療事故にどう対処するか,法的・社会的な責務をよく理解していないことである.こんな状態では貴重な事故の経験や教訓が生かされず,職員への徹底もおろそかになる.「失敗は宝の山」といわれる.しかし,医療事故に関しては,医師としての知識や,当然なすべき注意が足りなくて起こした恥ずかしい事故だという思いが先立ち,互いに触れ合うことを避け,宝の山に近づけないのが実情であろう.訴訟はすべて弁護士に任せ,一部の関係者だけでこっそり処理する病院が多いが,これだけで終わらせてはもったいない.事故やニアミスのデータを集め事故防止に生かし,訴訟によって得られた結論からもっと教訓を引き出し活用したい.紛争や訴訟に対応する過程で,医学的な根拠について,第三者である裁判官にもっと堂々と主張する姿勢が医療側にほしい.
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