主張
まず基本理念の変更の議論を
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pp.1021
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901951
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介護保険制度の新設を含め医療保険制度の改革が議論されている昨今であるが,その改革の必要性が財政ならびに,社会経済からのみの発想として考えられていることに大きな疑問を感じざるを得ない.もちろん日本のような国民皆保険を達成した社会保障的意味合いの極めて強い医療保険制度は,国家経済との調和の上に成り立っていることは当然のことであり,さらに,医療提供体制とも整合性を欠いてはならないことも大切なことである.医療のみが国家の経済力,社会や国民,企業の負担能力を超えてその費用が増えていくことは許されないことであるが,活力ある経済社会を前提としてその社会での行政責任として必要不可欠なサービスを必要性の順位で並べたとき,医療費の適正規模とその負担のしくみの変革が従来からの延長線上の議論だけでなく,理論的に理想像が描かれなければならないはずである.
1985年に改正された医療法において地域医療計画が策定されたが,それは一言でいうと,既存の病院病床数を肯定しただけのことであり,ある時刻設定での将来の社会に対し理想的な医療制度の下での提供体制の確立の計画ではなかった.間もなく1997年を迎え,この地域医療計画の策定からすでに十数年を経ているわけであるが,日本の社会制度作りというものは医療制度を含め,政治も行政も,そして社会経済のほとんどの分野で発想の転換がいまだ成されていないのが現状である.
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