特集 問われる病院と地域の保健活動
[事例紹介]病院の予防活動
脳ドック—無症候性未破裂脳動脈瘤の診断と治療
佐藤 昇樹
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1医療法人祥和会福山脳研大田記念病院
pp.1149-1151
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901676
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はじめに
生来健康な人が,働き盛りの年齢で,突然死することは,本人はもちろんのこと,家族にとってもきわめて悲惨なことである.突然死の原因となる代表的な疾患の一つである脳動脈瘤を未破裂の状態で発見し,くも膜下出血を未然に防ぐことができれば,これは,理想的な治療法であり,第一線の救急医療に携わっている脳神経外科医にとってはつねに切望するところである.
近年,画像診断装置,特にMR装置の発達に伴い,非侵襲的に脳の形態を把握することが可能となり,また造影剤を用いることなく脳血管を描出するMR angiography (MRA)の解像度も向上してきた.最近では,これらを利用して脳動脈瘤をはじめ,脳卒中,脳腫瘍,痴呆などの頭蓋内疾患を発病前に診断し,予防する試みが脳ドックとして全国に急速に拡がりつつある.しかし,脳ドックにより発見された脳動脈瘤が,いっ破裂するかを予想することは不可能であり,未破裂脳動脈瘤の長期追跡データが十分でない現状では,合併症の危険を冒してまで手術をするかどうかは社会的な重大関心事となってきている.
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