特集 問われる病院と地域の保健活動
健康診断と産業医活動
上田 茂
1
1労働省労働基準局労働安全衛生部労働衛生課
pp.1139-1143
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901673
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はじめに
職場における労働者の健康の状況については,職業性疾病の発生はこの十数年間で半減し,じん肺,腰痛や化学物質による健康障害等の課題が依然あるものの,一定の成果がみられる.一方,高齢化の進展等に伴い,高血圧症,虚血性心疾患等の疾病が増加しており,定期健康診断において労働者の3分の1がなんらかの有所見者となっている.これらの疾病の中には,労働の態様や職場における健康管理いかんによっては悪化する場合があることから,作業関連疾患対策としての取り組みが課題となっている.また,産業構造の変化,技術革新の進展等により,労働者の精神的負担の増加等から,疲労やストレスを感じる労働者の割合が増加している.
職場における健康管理を進めるための基本的な法律として,労働安全衛生法(以下,安衛法という.)がある.この法律では,事業者に職業病も含めた労働災害を防止するための最低基準の遵守を義務づけるとともに,快適な職場環境の実現と,労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保することを規定している.また,産業医や衛生管理者,衛生委員会等の安全衛生管理体制,健康診断および事後措置,健康教育,健康相談,健康の保持増造のための措置などについて定めている.
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