主張
病院内の教育研修の意義
I
pp.733
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901569
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組織は絶えざる変革を必要とする.社会の期待が変革を求めるからであろう.あらゆる人間の組織がそうであるように,病院もまた周辺の環境の期待の変化を敏感に感じ取り,自らの機能を変革していかなければならない.組織が前進するためには絶えざる教育研修や研究開発が必要である.製薬企業等がどの程度研究開発費(R&D)を投じているかがその組織の成長性を規定すると言われている.それでは病院組織の成長を測定するには,教育研修費の医業収益に占める額が検討されているであろうか.確かに専門医認定等においては,医師の研究成果の数などが要求されるが,病院として教育研修にどれほどの額を投じているか公表されていないし,医療経済実態調査等でもっと検討が必要であろう.病院内の教育研修に当たって考えるべき点がいくつかある.
第一に,多くの病院内の教育研修は縦割りの場合が多い.医師の場合には,どれだけ学会等で活動したかが話題となり,看護部門,検査部門,放射線部門,薬剤部門,医事部門等においても,どのような努力を行ったかが問われる.しかし病院管理が求めるものは,組織としての一体性である.1人の患者のために病院内のさまざまな技術が,いかに組織的に協力するかが病院機能の基本である.それならば,病院内の教育研修の重点は組織体としての教育研修である.
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