特集 インフォームド・コンセント—語る時代から行う時代へ
信頼とインフォームド・コンセント
河北 博文
1,2
1日本病院会
2特定医療法人河北総合病院
pp.888-889
発行日 1994年10月1日
Published Date 1994/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901339
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インフオームド・コンセントの“出現”
医療は医学の社会的適用と言われる.自然科学としての医学を社会生活と関連づけることによって社会科学としての存在が理解されなければならない.社会は日々変化し,社会を担う人々の生活様式も変わり続け,その人々の医療に対する必要性,期待,責任も時代時代により異なっている.自然科学は唯一の真理を結果として得るが,社会科学においては社会の歴史や伝統,文化,経験から,その場合に最もふさわしい対応を得るものである.
第2次世界大戦以前には,一部特定の人に対する医療,そして,各人の置かれた立場によつて異なつた医療が提供されていたが,戦後,特に現在の医療法並びに健康保険法の下で公平という概念により普及された医療は,国民に安定した生活を確保する基盤としての社会保障制度の中で整備され,大きな変革もなく現在に至っている.
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