特集 新しい長期療養サービス
長期療養のための看護・介護体制をどう整備するか
戸金 隆三
1
Takazo TOGANE
1
1医療法人三喜会鶴巻温泉病院
pp.575-578
発行日 1991年7月1日
Published Date 1991/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900959
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はじめに
あと30年後には,世界に類をみない高齢化社会のピークを迎える我が国であるが,すでに老人人口の増加と,それに伴う傷病・障害老人数も確実に増え始めており,早急に我が国の風土に合った,老人を対象とする長期療養体制を整備する必要性が叫ばれている.
成人の急性期疾患は,治療が主体となり,短期間に治癒して社会復帰することが一般的で,看護も医療介助が中心となる.しかし,老人の場合は,急性期疾患のみならず,他の臓器疾患を有していることが多く,また,高齢化それ自体が生理的変化,精神面の低下等を来たしており,複雑な病態が形成されている.この病態を一元的に説明することは困難であり,また老人は一度床に臥すと回復までに長い期間を要するため,入院も長期になりやすい.そこで,身体的・精神的に患者がもっている残存機能を低下させず維持するために,医療機関にも長期療養にふさわしい看護・介護体制のソフト,ハード両面からの整備が必要である.
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