特集 いま病院トップに求められる能力とは
現代が求める病院管理者像
国立病院を運営する立場から
丸田 和夫
1
1厚生省保健医療局国立病院部運営企画課
pp.668-669
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900422
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国立病院部創設のねらい
近年,医療の高度化への対応,経営環境の厳しさ,患者の病院・医療に対するニーズの多様化(アメニティー,インフォームドコンセント)等々,医療機関を取り巻く状況は大きく変化しており,総じて非常に厳しいものがある.例えば,経営についてみれば,民間医療機関の倒産を耳にする機会も少なくない.
国立病院・療養所の経営・財政状況も他の医療機関同様,近年悪化の一途を辿って来ている.現在国立病院・療養所は全国で247施設あり,5万4,000人の職員が働いているが,歳入に占める一般会計からの繰入は約4分の1,約2,500億円に達している.また施設整備や医療機器購入にあてる財政投融資からの借入金残高も6,000億円を超えている.その原因として,疾病構造の変化などのほかに,国立病院事業の運営の仕組みや体制が「事業体としての経営」を適切に担保できるものとなっていなかったこと,職員に事業体としての認識が乏しかったことなどが考えられる.
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