主張
医療への社会的投資
I
pp.667
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900421
- 有料閲覧
- 文献概要
昭和33年に整備された現在の診療報酬体系は,その後30数年を経て当時の原価を基礎にした体系からほど遠いものになってしまっている.診療報酬の内容を検討する場である中央社会保険医療協議会での議論は,主に,関係者の利害関係の調整に終始しているように思われ,さらに,国民生活に必要なだけの医療を支える経済的な財源は,残念ながら中医協とは離れて,国家財政との関連で超政治的に決定される仕組みが出来上がってしまった.
これはまさに日本的行政機構の産物であり,責任の所在は誠に不明確になった.その結果,診療報酬は改定の都度の財源を配分しただけのものとなり,医療関係者の間には不必要な嫉妬や摩擦が生じるようになった.ただし,この結果というものは,日本社会の一般的産業経済の中で医業の自由開業制を維持しつつ公定料金である社会保険制度により医業の運営を行っていこうとすれば当然のことであるともいえる.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.