麻酔医が往く・7
薬剤部と麻酔医
後明 郁男
1
1箕面市立病院麻酔科
pp.622
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900409
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薬剤部と親しくお付合いさせていただくようになって,もう数年になる.薬剤部と麻酔科の付き合いのなれ初めは,共同でWHO方式がん落痛治療法の普及活動を始めたことである.
私が箕面に赴任しておよそ10年になるが,地域に密着して診療活動をしている当院のような基幹的第一線病院が,診療活動の中心的施設であるとともに実質的に地域住民のがん死の看取りの施設であることに気づくのに,そう時間はかからなかった.当時,がんの終未期ケアやホスピス運動に対する関心が社会的に高まり始めていたが,ボランティアリズムとキリスト教文化を基盤としたホスピス運動がわが国でそう簡単に育つとは思えず,また家庭の介護力や住宅事情を考えると在宅がん終末期ケアも絵に描いた餅に思え,私たちの病院のような施設でのケア能力の向上こそがわが国のがん終未期ケア向上の鍵であると確信するに至った(これは今も変わっていない).ちょうどその頃,WHO方式が公表されて,すぐに飛びついたことはこのシリーズでも先に触れたが,WHO方式の良さはその簡便性(普遍性と言い換えてもよい)と高い有効性にある.ある組織全体のがん終末期ケア向上の支柱として活用できることにこそ,その真骨頂がある.
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