連載 感染症新時代—病院はどう生き抜くか・8
東京都立多摩総合医療センター・足立拓也医師インタビュー
堀 成美
1
,
足立 拓也
2
Narumi Hori
1
,
Adachi Takuya
2
1国立国際医療研究センター国際診療部
2東京都立多摩総合医療センター内科医
pp.458-461
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211437
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新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)のパンデミック期には,医療の「崩壊」「逼迫」という言葉が繰り返し伝えられた.これには確定症例や疑い症例を受け入れる病室数と実際の症例数のバランスの問題と,他の病棟の利用や診療の制限によって,本来アクセスできるはずの医療に他の患者がアクセスできないことで起きる問題が含まれていた.確かに,全体の病床数は十分あっても,特定の感染症の受け入れのために迅速かつ柔軟に調整できないことは,初期から課題として指摘されていた.
もともと感染症法で制度化されていたのは,まれな感染症を想定した指定医療機関(特定・第一種・第二種)である.新型インフルエンザ等対策行動計画では,臨時の接触者帰国者外来・入院医療機関は想定されていたものの,感染症法には規定がなかった.また,医療法と感染症法がこの仕組みにおいて連動していない.このため,パンデミック期に必要な病床を確保するための法整備と保健医療計画と地域医療構想における整合性も,急ぎ見直しが求められている.予算における配慮が必要なのは言うまでもない.
新型コロナの症例増加時に,臨時の病床拡大の手段として,大阪府や東京都では「専用病院」も開設された.大阪府の事例では,全国から応援看護師が集められた.東京都は,病院の移転新築後に使用されずにいた古い施設を改修し,2020年12月16日にコロナ専用病院としてスタートさせた.ちょうど最も患者が増加した2021年1月の前,各病院が年末年始体制に入る前のタイミングであり,この運用に救われた関係者も多かった.今回は,この専用病院の診療チームのリーダーとなった足立医師にお話をうかがった.
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