特別記事
病院勤務者のための法令・通達等の調べ方—変革の時代を乗り切るために
小西 知世
1
1明治大学法学部
pp.876-881
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210359
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■変革期にある医療制度
医療制度改革と法改正
100──それは過去3年の間に制定された医事関係法令の年平均数である注1).この100という数字を多いと感じるか少ないと感じるかは,人それぞれであろう.しかし,忘れてならないことは,この数字はあくまでも氷山の一角でしかないということである.例えば,2014年6月25日に法律第83号として制定された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(以下,「医療介護総合確保推進法」)をみてみよう.この法律は,いわゆる「整備法」といわれる法律─ある特定の政策を実現させることを目的として,その政策と関わる一連の法律を改正するために制定される法律─である注2).つまり,医療介護総合確保推進法という法律の内実は,地域包括ケアシステムを導入するという目的のもと,その数,実に44にもなる関係法律をまとめて一度に改正することをもくろんだ法律なのである.それだけではない.この44の法律の改正により,波及的に,それらと関わる政省令や通達等も新設されたり改廃されたりしたのである.かくして,医療介護総合確保推進法という新たに制定されたたった1つの法律の背後で,膨大な数の法令等が変わったのである.
近年,なぜ,かくも数多くの法令の新設・改廃がなされているのであろうか.改めて言うまでもないが,2025年に団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となり,以降,今までの医療制度ではどうにも対応できなくなる時代が到来するからである.
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