特別記事
—病院管理者が知っておきたい—医療事故調査制度の注意点
水沼 直樹
1
1亀田メディカルセンター
pp.670-677
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209924
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■はじめに
医療事故調査制度は,平成26(2014)年6月に成立・公布された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」による医療法の一部改正により創設され,平成27(2015)年10月から施行される調査制度である.本制度は,突如として創設されたわけではなく,その創設に至るまで10年以上の紆余曲折があった.本制度の特徴の一つは,事故調査を管理者の実施する院内事故調査とした点である.調査主体である病院等の管理者すなわち「病院,診療所又は助産所」(改正医療法第6条の10第1項)の管理者は,本制度の特徴と危険性について熟知する必要がある.医療事故調査制度自体の解説は既にいくつか散見されるが,現行制度が創設された経緯から本制度を見直すと,現行制度の理念や仕組みが新たに見えてこよう.
そこで,本稿においては,医療事故調査制度が創設されるまでの経緯を踏まえ,創設された医療事故調査制度に対する解釈の対立点をみながら,医療事故調査による負の歴史,医療事故調査制度の趣旨にかなう運用,対策などについて考えたい.
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