時評
謝礼
斎藤 芳雄
1
Yoshio SAITOH
1
1大和医療福祉センター
pp.905
発行日 1989年8月1日
Published Date 1989/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209675
- 有料閲覧
- 文献概要
最近,私の親戚の者が,某大学病院に手術のために入院した.入院の前日,その人から電話があり,ある人を介して教授に紹介してもらったのだが,一体「教授にどのくらいのお礼をしたらいいのか」という相談を受けた.私は,自分が昭和40年代初頭の学園闘争時の卒業で,初めから大学病院を離れた在野の医師であるため,そのような事情にまことに疎く,適切な答はできないと返事した.その後,このような事情に詳しい友人に尋ねてみると,「とにかくひどいもんだよ,医者は」と言って,1つ1つ事例をあげて説明してくれたが,「一部の医師」のやっていることに,まことに呆れ果ててしまったのである.今回は「良い年齢をして青臭い」と言われるかもしれないが,あまり医師内部で触れたがらない,このような問題について私見を述べてみたい.
医師に対する「謝礼」は,1つは患者=住民からのものであり,もう1つは業者,なかんずく製薬業者からのものである.医師と製薬業者との癒着はひどいものであるが,すでに何例もの逮捕例もあり,未だにそのような関係をもっているのは情況に疎い人ばかりなので,今回は省略して,「患者=住民と医師」の関係だけに絞らせていただく.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.