建築と設備 第22回
大阪府立病院
伊藤 誠
1
Makoto ITOH
1
1千葉大学工学部建築学科
pp.161-166
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209237
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■病院の歩み
大阪府立病院は五つある府立病院のひとつで,他の四つが成人病,呼吸器,母子,精神病といずれも特定領域のみを対象とする専門病院であるのに対し,ここだけが全科をおおう高機能総合病院である.
前身は,明治初期(1871年)に創設された梅毒院で,性病専門の府立難波病院として現在地に居を定めたのは大正末期(1924年)であった.その後性病の衰退によって病院自体の存在意義も薄れたが,たまたま地域の要請もあって,1955年,330床の総合病院として再発足,名称も大阪府立病院と改められた.その後,時を追って増築・増床を繰返し,1969年には920床の巨大病院に成長した.しかし,いかんせん継ぎ足し接ぎ足しの結果は,はなはだ複雑で非能率的な病院になってしまい,ついには,例えば電気室が病院全体で10か所もあるというような状態に立ち至っていた.建築・設備とも老朽化の程度はかなりなものであったことは言うまでもない.
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