特集 病院ルネッサンス
病院の原点を見直す
島内 武文
1
Takefumi SHIMAUCHI
1
1東北大学
pp.21-24
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208977
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病院は本来医療のための施設であり,そのあり方は医療によって左右される.元来,病院には医療,すなわち診療・看護・給食・収容などの機能があり,ここで患者が多数医療を受けることから医学の教育と研究の場として重視され,また患者を収容するところから社会的には隔離の機能がある.昔の都市では寺院が中心的な位置を占めていたが,今日では病院が地域の文化の象徴となっている.
我々は健康や生命を重視して,医療にはあらゆる人智・手段を動員し,その施設として高度の知識技能による組織と高度複雑な機械設備を備える病院を作り上げてきた.それだけに,病院は医療において大きな比重を占めている.しかし,病院はあくまで医療の手段であって目的にはなり得ない.もしも「病院の原点」という言葉にこだわるならば,それは医療の手段ということになるであろう.しかし,出題の本意は恐らく「医療の原点」を今日の病院医療について考慮することを求めているものと思われ,またそこに病院の原点がおのずと発見されてくることになるであろう.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.