特集 情報化社会における病院—情報システムのあり方
医療情報とそのシステム化—医療サイドから
小山 照夫
1
Teruo KOYAMA
1
1浜松医科大学・附属病院医療情報部
pp.726-728
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208902
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医療と情報処理
医療というプロセスを考えてみるならば,そこには基本的に多くの情報処理が含まれているということができるであろう.図1は医療を情報処理の観点からモデル化したものである.このモデルでは患者に関して既に観測されている既知の情報の存在が仮定されており,この情報をもとに診断等に見られる情報評価が行われ,また次に行うべき医療の基本方針に関する意思決定が行われることとなる.更に意思決定に基づいて,投薬等の治療や処置,追加検査の実施等の具体的な行動計画が立案されることとなり,計画に従って実際の医療行為が実行されることとなる.実際に行われる医療行為の中には,簡単な処置や注射,投薬等のように患者のベッドサイドで行われるものもあるが,現在の病院システムを考えるならば,多くのものは専門の中央診療部局に対して依頼が行われ,結果を報告の形で受け取るという形で実行されるであろう.
医療行為が実施されると,そこでは患者に関する新しい情報が観測されることとなり,これが既知の情報に追加されることにより,新しい情報処理のサイクルが始まることとなる.またこのような医療情報処理のサイクルに付随して,実行された医療行為に関する情報が病院事務部門に伝達され,一つは医事会計の基本情報として,また一つは病院内で行われる医療行為の全体を把握し,将来計画の基礎資料を準備する統計データとして活用されることになる.
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