人
日本赤十字看護大学初代学部長に就任した 樋口康子さん
小林 清子
1
1日本赤十字社幹部看護婦研修所教務部
pp.368
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208821
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樋口康子先生が日本赤十字女子専門学校(現在の日本赤十字看護大学)を卒業し,日赤中央病院(現在の日赤医療センター)の看護婦としてスタートしたのは昭和30年である.その後,フルーブライト留学生として米国に約2年学び,帰国後も日赤中央病院に勤務,更に日赤幹部看護婦研修所に1年間勉強し,日赤中央女子短期大学(現在の日本赤十字看護大学)で教職についた.昭和39年再び勉学のためにボストン大学,コロンビア大学で学び博士号を取得され,仕事と研究とを続けられていたが,日本赤十字社に請われて帰国したのが昭和53年であった.
看護職につかれてから現在まで31年を数えるが,米国滞在が16年の長きにわたるので,私は,帰国直後の先生の行動は,滞米生活が色濃く投影していると思われたため,人間関係がうまくゆくか否かに一抹の危惧を抱いていた.ところが,あに図らんや,英語はほとんど口にせず,接遇はもの柔らかく控え目で,顕示的な態度は全くみられず,たちまち人々の中に融け込まれたことは,大きな驚きであった.しかし半面,内に秘めた情熱とことを成し遂げる粘り強さは格別で,大学設立準備のためのこの1年間は,先生が中心の一人として仕事を進めていたが,先生は日曜日はほとんどなく,平日は早朝から夜更けまで努力を重ねられて,誠に頭の下がる思いがした.
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