特集 第一線医療と医師の研修
紹介
自治医科大学「地域家庭診療センター」
宮森 正
1
Tadashi MIYAMORI
1
1自治医科大学,地域医療学
pp.1033
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208184
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自治医大におけるプライマリ・ケア教育と研究
自治医人卒業医師が初期研修を終えて赴任するのは,それまで教育を受けた大学病院や研修病院とは全く性格の異なる第一線の地域医療機関で,医師1名に若干の事務,看護職といったへき地診療所や医師2〜3人のへき地病院が多い.卒業生はここで一種のカルチャー・ショックに見舞われるという.それは,へき地,離島の地理的環境というよりは,研修病院とは全く違った医療環境に直面せざるを得ないからである.それまで頭では理解していたプライマリ・ケアの重要性を切実に体で感じ,初期研修での不足事項,全科にわたる知識技術,慢性疾患のケア,救急医療,患者コンプライアンス,コストマインド,医師患者関係などの重要性を肌で知ることとなる.医療の専門分化の中でともすれば見失いがちなことだが,へき地医療という"源点"では再認識を迫られるのである.
こうした問題を,へき地医療を担当する自治医大の教育,研究に反映するために地域医療学部門が設置されているが,その臨床外来部門として,今年6月開所したのが[地域家庭診療センター」である.これは大学における学部教育,卒後研修,生涯教育の中で,へき地の地域医療活動を教育,研究できる部門が必要,との考え方から開設された地域指向型のプライマリ・ヘルス・ケアを目指す無床の全科診療所である.
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