新 病院建築・65
部門別設計(1)—検査部門について
藤橋 和光
1
Kazumitsu FUJIHASHI
1
1共同建築設計事務所
pp.445-449
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208026
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はじめに
「検査部門について」という漠然とした題で執筆の依頼をいただいた.しかし,検査部門の設計に関する諸問題を網羅的に述べるだけの紙面の余裕はとてもない.そこで,テーマを絞らせていただいた.仮にそれを,「いつまでも使える検査部門」とでも呼んでおく.設計者の間でいう「成長と変化」の問題である.もちろん,検査台に関する人間工学的な問題,空調条件に関する問題,あるいは廃液処理に関する問題など,いずれ劣らぬ重要な問題は他にも沢山ある.しかし,これらの多くは手で触れ,肌で感じることのできる事柄であり,それだけに具体的な要望として設計者に提示されることも多い.ところが「将来への備え」となると,これが具体的な要望として提示された経験を私は持たない.にもかかわらず,この「備え」は,それを怠ると将来の作業効率を著しく低下させてしまう重要な問題である.そこで,この問題をテーマとして取り上げることにした.なお,検査部門のうち,特に検体を扱う部門に限って話を進めさせていただくことにする.
さて,「いつまでも使える検査部門」とは,その時々の与条件の変化に対応し得るフレキシビリティーを持った検査部門と言い換えることができる.あるいは,成長し,変化することのできるものである.そして,このような検査部門を実現するためには,次の三つの備えが必要となる.
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