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書評と紹介 —上林 茂暢 著—「病院自動化その現状と将来」
石井 暎禧
1
1医療法人川崎幸病院
pp.800
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207837
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問題意識への実証分析が希薄
本書は冒頭「いまや日本医療,とくに病院医療は,自動化・コンピューター化を軸とした医療技術革新の成果を背景に,重大な転機を迎えようとしている.」と極めて現代的な問題意識の提示が行われている.続いて克明な実態分析が内容となっている.
著者の問題意識が論理展開されるのは,第III部第2章「大型機器の導入と病院経営」,終章「病院自動化と"脱病院化社会"」であるが,本書が他を抜きん出ているのは,むしろ第I部「病院自動化の現状」,第II部「診断と治療部門での変革」で典型的に見られる克明な実態分析であろう.ここではME機器の現状・歴史が,日本医療の現場に即して包括的・具体的に分析され,問題点が指摘されている.臨床医の眼が感じ取られるところである.ジャーナリストたちにありがちな過大な期待・幻想も,反発もなく,妥当な分析と言ってよい.
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