グラフ
特色を生かした地域医療を目指す—慶應義塾大学伊勢慶應病院
pp.194-199
発行日 1982年3月1日
Published Date 1982/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207684
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宮川の清流を渡って伊勢神宮に向かう国道近くに建つ当病院は,昭和49年4月,地元の亀谷病院から寄贈を受け,慶應大学がその運営を引き継いだものである.亀谷病院は,当地で最も伝統を持った個人病院で,特に歴代院長の学究的姿勢には定評があった.私立の名門慶應大学が,東京から遠隔の地に付属病院を置くにあたっては,地域医療の実践と一般臨床医の養成という目的があったにしても,洋和の文献が整備された図書室,講演・研究会等多目的使用に準備された講堂,屋上の動物実験室など,地方の一民間病院には稀有なほどの研究態勢が既に備わっていたことが,その条件に適ったのであろうと想像される.継承時には,建物・設備とともに,医師,事務長・次長を除くスタッフ・職員もそのまま移管された.
当病院を取り巻く医療状況としては,人口10万余の伊勢市内に,市立,日赤,当病院の三大病院と100近くの開業医が併立し,医師の対人口比率は高い.しかし,近隣の度会郡,離島を含む志摩郡の市町村,更に伊勢志摩国立公園の中心地として発達した道路・鉄道網を通して,医療過疎に悩む南勢地方や奈良県寄りの山地にまで,診療圏を拡げる可能性を内包している.
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