海外の医療
ブラジルの医療事情
中村 晃
1
1日本大学医学部病院管理学教室
pp.857-860
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207582
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ブラジルあれこれ
ブラジルは南米大陸のほぼ半分の面積(815万1,965km2)を有し,南北4,320km,東西4,328kmと広大な国で日本のおよそ23倍の面積を有している.地形は全般的に平担でアマゾン流域の平野密林と東部,南部の高原地帯(海抜300〜900m)よりなり,大部分が赤道と南回帰線の間に位置するため,北部は熱帯,南部は亜熱帯から温帯にわたっている.人口は1980年現在119,025千人で(表1),増加率は68年から80年まで年平均2.76%となっている.また人口密度はkm2当たり140,州別ではサンパウロ,ミナス・ジェライス,リオ・デジャネイロ,エスピリットサントの4州で半数近くの43.5%を占めている.
人種構成は人種のルツボと言われるように現住民であるインディオとヨーロッパ(ポルトガル,イタリア,ドイツなど)からの白色移民,アフリカから移住した黒人,東洋からの移民等雑多で日系人は約70万人と言われている.人種による差別は法律で禁じられており,したがって人種的偏見はほとんどみられない.国語はポルトガル語で英語は一流ホテルなどを除いてまず通じない.宗教は1890年の新憲法によって宗教の自由が確立されているが,ブラジル人の92%はローマンカソリックで植民地時代・帝政時代を通じて国教としての地位を占め続けている.
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