特集 飛躍への条件
事例・飛躍への条件
事例・7
夢を追う勤務医生活
高木 紹夫
1
1深谷赤十字病院
pp.938-939
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207292
- 有料閲覧
- 文献概要
前院長の着任とともに,深谷赤十字病院が発足したのが昭和25年11月1日であったから,私の深谷生活も病院とともに29年余りとなった.発足当時13名の職員で60床.内科,外科,放射線科と称したものの,病床は半分は畳敷き,レントゲンは小川赤十字病院より借入した30ミリのポータブルのみ,検査室はわずかに中心視野の判別し得る顕微鏡1台であった.社会には終戦後の貧困の嵐が吹き荒れ,入院患者はほとんど生活保護の結核,及び赤痢,疫痢を中心にチフス,ジフテリー,日本脳炎等激症の伝染病,現在と違ってろくに治療薬も手に入らず,ただ院長以下,全職員の情熱と愛情を注ぎ込んだ本当に自分を忘れた看護であった.
昼夜の別もなく,土曜,日曜もない生活が繰り返されながら,いつの間にか時の流れ,社会の要求に応えて増床を重ね,52年4月には新築移転も完了し,内容的には赤十字100病院の中でも,トップ級のものが出来上がった.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.