講座 入門・ME機器の正しい使い方・7
ペースメーカはよく理解して使っていますか
小野 哲章
1
1三井記念病院MEサービス部
pp.246-247
発行日 1980年3月1日
Published Date 1980/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207109
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ペースメーカとは
ペースメーカ(正式には,人工心臓ペースメーカ)は,何らかの原因(房室刺激伝導障害や洞結節刺激生成異常など)で,心臓の拍動数が極端に(30〜40以下)低下してしまった患者の心臓に,周期的に電気刺激を加えて心臓を動かし,正常な拍動リズムを取り戻させるためのME機器で,いわゆる人工臓器の花形選手である.
心臓に電気刺激を加えて治療するME機器には,もう一つ除細動器(ディフィブリレータ)があるが,除細動器の電気刺激の出力電圧が数千V (体外通電の場合)である(昨年12月号本コーナ参照)のに比べて,ペースメーカの出力電圧は,わずかに数Vである.これは,除細動器が心筋細胞すべてを刺激し,すべてを興奮させなければならないので大きな電圧を必要とするのに此して,ペースメーカは,心筋中に広く分布している刺激伝導路(心筋の一部で,洞結節からの刺激を心臓全体に伝える役目を持っている)のごく一部分を興奮させれば,その興奮は自動的に伝導路中を伝わって心筋全体に拡がるので,ごく一部を刺激できるわずかの電圧しか必要としないのである.これがペースメーカによるペーシングの原理である.
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