精神医療の模索・16
精神科の看護体制—開放療法における精神科看護の実践から
牧 武
1
,
光吉 ヨシ子
1
1牧病院
pp.340-343
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206844
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現在の精神科医療では,向精神薬による治療と,様々な形での精神療法が主要な治療手段となっている.しかし,どのような治療も,それが行われる場としての病院の形態や機能と切放してはその効果を論ずることはできない.むしろ,そのような"病院のあり方"というものが,そのまま治療効果やその後の患者の成行きにまで深くかかわってくるといえるのではなかろうか.筆者らは,このような考え方で病院を"それ自体が治療的な働きをもつ環境"として育てることを願い,努力している.筆者らの病院は,病床数160床の小規模なものである.措置入院のベッドを持たないので,6個の保護室を除いては全部を開放にしている.そのため,医師,看護婦その他の病院の全スタッフが,いつも全体の患者の状態を把握し,治療的な配慮をすることができなければならない.更に,病院の中ですべての人間が相互に十分な関心を持合い,管理したり,管理されたりする関係でなく,"人づきあい"という形のつながりの中での治療が行われることが,開放的な運営を可能にするための一つの要件であるように思われる.
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