病院の窓
医業広告
高木 武
1,2
1東洋大学法学部
2日本医事法学会
pp.625
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206605
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広告や宣伝は,今日,戦後の音楽教育のように,われわれの日常生活にとけこんでいるものの一つである.医業広告も,テレビのCMに出てくる時代である.そういえば,<美容整形>とかを診療科名にして,医療法(70条)に"入れろ・入れるな"ということが問題になっているという新聞記事を見たことがあったが,"入れろ・入れるな"という前に,今一度,医療法の医業広告の規制の法規の,とくに沿革的な社会的意味を考えなければならない必要があるように思える.それは,その意味を考えたら,そんなに簡単に(しかもロコツに)"入れろ・入れるな"とは,いい切れまいと思われるからである.バス,電車の中,屋外に違反の医業広告が目立ち,新聞,雑誌でも,違反と思われる医業広告が目にふれることもある.ある時,広告業界の監視役のような方に聞いたが,医療法の規定(69条)の理解は,国語の解釈程度で驚いた.これでは,広告業界の自主規制もあったものでなく,違反の医業広告が大手を振ってまかり通るのも当然である.
医療法は,何人も,一定のことがら(医師・歯科医師だということなど)以外のことがらは,広告してはならない,その広告してもいいことがらでも,技能などに関することは駄目だと規定し(69条),広告していい診療科名は,これだと明示して(70条),これらの違反は,6か月以下の懲役か1万円以下の罰金だという(72条).
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