ホスピタル・トピックス 建築
明治村の病院(2)—名古屋衛戍病院
伊藤 誠
pp.64
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206158
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明治村には,赤十字社病院のほかにもうひとつ病院がある.名古屋衛戍病院である.これは現存するわが国の病院建築の中では恐らく最も古いものであろう.なにしろこの建物が名古屋鎮台病院として名古屋城内三の丸跡に建てられたのは明治11年である.鎮台はそれより少し前,明治6年に置かれたものであるが,21年になって陸軍はその制度を大きく改め,近衛ならびに第1から第6までの師団編成とし,東京・仙台・名古屋・大阪・広島・熊本の各市にそれぞれ師団司令部をおいた.これに伴って鎮台病院も衛戍病院と改称された.そして,これらはやがて陸軍病院,戦後は国立病院へと引継がれてきたのである.
ブロックプランは,正に典型的なパビリオンタイプで,正面中央に管理診療棟をおき,そこから北に延びる2本の渡廊下からそれぞれ3棟の病棟が東と西に張り出されたものであった.昭和39年,国立名古屋病院の構内から,ここ明治村に移築されたのは管理診療棟と病棟の一部ならびにそれらをつなぐ渡廊下のごく一部分である.
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