人
農村医療と取り組んで25年 秋田県厚生連由利組合総合病院院長—和泉昇次郎氏
菅原 虎彦
1
1聖路加国際病院
pp.16
発行日 1976年6月1日
Published Date 1976/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205914
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学生時代からの良悪友で,若いヒューマニストグループの仲間でもあった,いろいろの場で青臭い議論に陶酔したり,満洲の巡回診療に一緒に出かけたりもした.昭和14年東北大医学部を卒業すると陸軍短期軍医として大陸戦場を転々し,何度か命拾いをして引揚げ,抗酸菌研究所に籍をおいた.
将来の進路を模索中の昭和26年6月突然,由利組合病院長に指名された.仕方なしに行ってみると,両便検査と血算程度の設備しかない30床の惨めな病院に驚いた.6か月の約束だったが,その間に彼の中で発酵してきた理念は,恵まれない農村の生活環境で物質的な地域格差はともかくとしても,医療に地域格差や貧富格差があってはならないとの信念となり,"最高の医療を最低の医療費で"の目標を掲げた.地域の人びとは最早彼を放さない.
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