精神医療の課題
精神科医療チームの再編成
西堀 恭治
1
1北海道立緑ケ丘病院
pp.76-80
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205738
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はじめに
精神科の医療が世にクローズアップされてから,すでに久しい.患者に偽装しての精神病院見聞記が堂々と店頭に並べられ,マスコミは事あるごとに精神科医療の荒廃を喧伝し,医療界内部からの告発も相次いだ.
精神科の医療には多くの問題があったが,このような日常的な問題提起を通り越して,精神科医療の基盤そのものを疑問視し議論が抽象的概念的となって,臨床から離れれば離れるほど,高尚らしくなればなるほど,かえって毎日の診療への寄与は皆無となってしまった.議論のための議論でそらぞらしく,患者は何の恩恵も受けず,予後にも改善が見られず,家族の悩みも全く解決されてはいない.精神障害者の数は確実に増加し,家族の「社会復帰の方策を実現せよ」との切実な要望に対する具体策は,明らかになっていない.
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