現代のカルテ
電力再編成と政財界の腐れ縁
永田町山人
pp.40
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202439
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日本の電力会社は戦後,日本発送電という国策統制会社に一本化されていたものが解体されて,地域ブロック別に9つの電力会社に分割編成されたものだが,最近,政財界ではまたまたこれを編成し直す案が出されている.ところがこれについては,いろいろ経情報が流れており,政界と財界との腐敗した関係が,如何に大きな影響をもつているかを如実に示すものとして注目をひくようになつてきた.
それによると,こんどの電力再編成問題のそもそもの起りが,東北電力の電力値上げ問題に発したというのである.というのは東北地方は他と比較してほとんどが水力発電で,火力発電をもつていない.いうまでもなくちかごろの工業の発達は電力の需要が莫大なもので,到底水力発電だけでは間に合わず,東北電力もいよいよ火力発電を増設することになつたが,それには大きな資金が要るので電力料金値上げで賄うことにして,値上げを申請した.ところが東北には日本有数の某肥料会社があり,ここの社長は政界とも多分のつながりがある某財界人である.東北電力が申請した値上げを認可されると,この肥料会社の電気料金は一挙に年額6億になるというので,社長が早速政界の有力筋に働きかけて電力料金値上げにストップの圧力をかけさせ,「電力値上げよりも電力再編成が先だ.再編成してから値上げを検討してもおそくはない」と巧みに問題をスリかえてしまつたというのである.
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