研究と報告【投稿】
救急医療における大学付属病院災害外傷部の役割—頭部外傷急性例をめぐって
宮崎 雄二
1
,
高橋 八三郎
1
1札幌医科大学脳神経外科
pp.87-91
発行日 1975年9月1日
Published Date 1975/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205717
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緒言
頭部外傷例中には種々の頭蓋内病態と重症度の症例がある一方,頭部外傷例の生命予後および機能予後を左右する因子は,頭蓋内血腫発生の有無と脳挫傷の部位,範囲および程度である.頭蓋内血腫に対する血腫除去は,血腫による直接的または間接的な脳幹圧迫を解除することが目的であるため,脳幹機能障害が出現しない時期,進行しない時期または可逆的である時期に血腫除去が行われねばならない.また脳挫傷例においては,初期の徹底的治療によって挫傷部周辺浮腫の拡大を可能な限り防止し脳浮腫を限局化させることによって,脳幹圧迫や脳循環障害を防止しなければならない.
こうして頭部外傷に基づく頭蓋内病態は時々刻々変化するが,これらの変化を観察する医師が脳神経外科的対処を行いうる医師でない場合に,専門的知識をもって処置しうる医師へ連絡搬入しなければならない.このような頭部外傷に対し専門的処理を行いうる医療機関のひとつとして大学付属病院脳神経外科の活動が期待される.
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